だんだんと肌寒くなり、ご実家の「暖房」が気になる季節になってきました。
「親が高齢だから、風邪をひかないよう暖かくしてあげたい」 「でも、エアコンを一日中つけっぱなしにしたら、電気代が恐ろしいことに…」
冬のエアコン(暖房)は、「健康(ヒートショック対策)」と「電気代(コスト)」の板挟いで悩むご家族が非常に多い問題です。
実際のところ、「こまめに消す」のと「つけっぱなし」では、どちらが正解なのでしょうか? この記事では、「シニアの暮らし快適ガイド」として、高齢者の暖房における電気代の真実と、健康を守るための最適な使い方を、介護と家電の視点から徹底解説します。
【結論】暖房は「つけっぱなし」が正解!
いきなり結論ですが、冬の「暖房」に関しては、こまめに電源をオン・オフするよりも、「基本的につけっぱなし」にする方が、
- 電気代が安くなる 可能性が高い
- 高齢者の健康(命)を守る という、2つの面で「正解」となります。
なぜ電気代が安くなる? エアコンは、電源を入れた直後の「冷えた部屋を一気に暖める」瞬間に、最も電力を消費します。 30分程度の外出でいちいち電源を切ると、帰宅のたびに「最も電力を食う運転」を繰り返すことになり、かえって電気代が高くなります。 (※夏場の冷房よりも、冬の暖房の方がこの傾向は顕著です)
【専門家の視点】電気代より怖い「ヒートショック」
電気代以上に、私たちが「つけっぱなし」を強く推奨する理由があります。それが「ヒートショック」です。
【専門家コメント】 介護の現場で私たちが最も恐れる冬のリスクが、この「ヒートショック」です。 これは、暖かいリビングから、暖房の効いていない寒いトイレや脱衣所へ移動した際の「急激な温度差」によって、血圧が乱高下し、心筋梗塞や脳卒中を引き起こすものです。
部屋の電源をこまめに切ることは、この「危険な温度差」を家の中にわざわざ作り出しているのと同じです。 電気代を少し節約した結果、ご家族が倒れてしまっては本末転倒。高齢者のいるご家庭では、「家全体の温度差をなくす」ことを最優先に考えてください。
高齢者のための「正しい暖房」節約術4選
「つけっぱなし」を基本にしつつ、電気代を賢く抑える4つのテクニックをご紹介します。
1. 設定温度は「20℃〜22℃」で固定する
高齢者は体温調節機能が低下しているため、寒さを感じにくいことがあります。 「寒い」と言わなくても、室温は20℃程度をキープするのが理想です。温度を上げすぎないことが最大の節約になります。
2. 運転モードは「自動運転」が最強
電気代を節約しようと「微風」や「弱」にしがちですが、これは逆効果です。 「自動運転」モードにしておけば、エアコンが最も効率の良いパワー(最初は強く、室温安定後は弱く)を自動で判断してくれるため、結果的に電気代が最も安くなります。
3. 「サーキュレーター」を併用する(最強の節約術)
暖かい空気は部屋の上に溜まります。 足元が寒いからと設定温度を上げると、天井付近ばかりが暑くなり、無駄な電気代がかかります。
【専門家コメント】
これは家電の知識ですが、暖房効率を上げる最強の相棒が「サーキュレーター(または扇風機)」です。 エアコンの対角線上に置き、エアコンに向けて「上向き」に風を送ってください。 部屋の空気が強制的に循環し、足元まで暖かくなります。体感温度が2〜3℃上がるため、エアコンの設定温度を下げても快適に過ごせ、劇的に電気代を節約できます。
4. 「加湿器」を併用する
冬のもう一つの問題が「乾燥」です。エアコン暖房は空気を非常に乾燥させます。
【専門家コメント】
乾燥は、インフルエンザウイルスの活性化や、喉・肌のトラブルに直結します。 また、湿度が上がると、同じ室温でも体感温度は暖かく感じます。 快適な湿度(40〜60%)を保つためにも、「加湿器」の併用を強くおすすめします。これも結果的に、暖房の温度を上げすぎない節約につながります。
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今回のエアコンのように、高齢者向けの家電は「いかにシンプルで迷わず使えるか」が重要です。
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まとめ
高齢者のいるご家庭での冬のエアコンは、「こまめに消す」のはNGです。 「自動運転でつけっぱなし」を基本とし、「サーキュレーター」と「加湿器」を併用する。 これが、健康と電気代の両方を守るための「最強の答え」です。 もし10年以上前の古いエアコンを使っている場合は、最新の省エネモデルに買い替えるだけで、電気代が劇的に下がることもありますよ。

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